Japanese
English
特集 DSM-III—その有用性と問題点
躁うつ病(感情病)
Clinical Usability of DSM-III: Manic-depressive Psychoses (Affective Psychoses)
藤縄 昭
1
Akira Fujinawa
1
1京都大学教養部心理学教室
1Department of Psychology and Psychopathology, Kyoto University
pp.129-135
発行日 1984年2月15日
Published Date 1984/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405203713
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.まえがき
私に与えられた課題の躁うつ病ないし感情病の概念は,周知のごとく精神分裂病とともに機能性(内因性)精神病を二分する,一つの疾患単位と考えられてきた疾病概念である。ところが,この度テーマとなったDSM-III3)には躁うつ病のカテゴリーがない。DSM-IIIについては既に多くの紹介7,22〜24),翻訳4)もあり,御存知の方も多いと思うが,躁うつ病に対応する病態は「感情障害Affective Disorders」という大きなカテゴリーの一部分であり,「大感情障害Major Affective Disorders」と呼ばれるカテゴリーに殆ど一致する。しかし,完全に対応するわけでもない。
DSM-IIIの分類のなかで,上述の「感情障害」のところは特に苦労されているところで,それだけにユニークなのだが,また実際的には問題も多い。他の分類,例えば伝統的な分類とかICD-95)とかでは精神病性(内因性),神経症性(心因性)および人格障害などに分けられる感情(あるいは気分mood)の障害を包含している。与えられた課題は躁うつ病であるが,本特集の狙いに沿って,DSM-IIIの「感情障害」全体を問題にしようと思う。
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.