特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅳ.代謝的に作用する薬物
ホスホリパーゼC
西田 朗
1
,
山脇 成人
2
Akira Nishida
1
,
Shigeto Yamawaki
2
1国立呉病院臨床研究部精神神経科学研究室
2広島大学医学部神経精神医学講座
pp.502-504
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901651
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イノシトールリン脂質特異的ホスホリパーゼC(PLC)は,細胞膜のリン脂質のひとつであるホスファチジルイノシトール二リン酸(PIP2)を分解して,細胞内二次メッセンジャーであるジアシルグリセロールとイノシトール三リン酸を産生し,それぞれプロテインキナーゼC活性化と細胞内カルシウム放出を引き起こして細胞内へ情報伝達を行う1,2)。さらに最近では,PIP2自体が膜蛋白質の機能や膜接着性の調整を行っていることが明らかになり,この機能もPLCがPIP2を分解することで修飾するためにPLCの新知見の役割として注目されてきている。
PLCアイソザイムはβ,γ,δ型の3ファミリーに大別されている(図1)。3型とも高い(40-60%)アミノ酸配列相同性のあるX,Y領域を持つ。N末端側にpleckstrin homology(PH)部位とEFハンド部位を持ち,Y領域のC末端側にC2部位がある。さらに,PLCγのみXとY領域の間にsrc homology(SH)部位(二つのSH 2と一つのSH 3)とSH部位を挟むPH部位が存在する。X,Y領域は触媒部位,PH部位はPIP2を介して膜結合する部位,EFハンドとC2部位はカルシウムによる活性調整部位と考えられている。SH部位はリン酸化チロシンに結合して活性化シグナルを伝達する。
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