特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅳ.代謝的に作用する薬物
ホスホジエステラーゼ
浅沼 幹人
1
Masato Asanuma
1
1岡山大学医学部分子細胞医学研究施設神経情報学部門
pp.499-501
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901650
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Phosphodiesterase(PDE:3',5'-cyclic nucleotide phosphodiesterase)は,cAMPあるいはcGMPを5'-AMP,5'-GMPに加水分解する酵素である。従って,PDEに対する阻害剤はcAMPあるいはcGMPの濃度を高める。PDEは調節因子や基質選択性により現在では八つのファミリー,遺伝子配列の違いにより15のサブクラスに,さらにスプライシングの違いや局在により総計30以上のアイソザイムに細分されている1-3)。
PDE 1(Ca/calmodulin(CaM)-dependent)はCa/CaMにより活性化され,cAMP,cGMPの両者を基質として分解する細胞質分画酵素で,PDE 1A2,1A3,1B1,1C1,1C2,1C3,1C5のアイソザイムが脳に局在している。1A2は大脳皮質,海馬に多く4),cAMPで活性化されたAキナーゼによりリン酸化され,さらにcAMPを増加させる。1B1の局在はドーパミン(DA)D1レセプターと酷似しており,D1レセプターを介したcAMP二次伝達系に対するCa/CaMによる制御に関与しており4),CaMキナーゼⅡによりリン酸化され阻害される。1C2は嗅神経に限局し,嗅刺激後のcAMP,cGMPの増加を一過性にする。
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