特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
1)アミン・アミノ酸受容体
メタボトロピックグルタミン酸受容体
水上 令子
1
,
杉山 博之
2
Reiko Minakami
1
,
Hiroyuki Sugiyama
2
1九州大学医療技術短期大学部
2九州大学理学部生物学科生体物理化学講座
pp.377-380
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901611
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1.受容体研究の歴史
グルタミン酸受容体はその研究の当初においてはイオンチャネル型にのみ注意が払われてきた。しかしグルタミン酸もほかの多くの神経伝達物質と同様に,Gタンパク質と共役するタイプの受容体を活性化させることが見出され,メタボトロピックグルタミン酸受容体(mGluR)と名づけられた。培養神経細胞や脳スライスでイノシトールリン脂質分解を測定する系,およびアフリカツメガエル卵母細胞にmRNAを注入して受容体を発現させ,この受容体がGタンパク質を介してホスホリパーゼC(PLC)を活性化する結果引き起こされるC1-電流を検出する系によって,PLCを活性化してホスホイノシチドの代謝回転を促進するタイプの受容体の存在がまず明らかになった1,2)。1990年代に入って,メタボトロピックグルタミン酸受容体のクローニングが行われ,アデニル酸シクラーゼ(AC)を抑制してサイクリックAMP(cAMP)の産生を抑えるタイプの受容体も見出された3)。
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