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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅰ.レセプターに作用する薬物
メタボトロピックグルタミン酸受容体
Metabotropic glutamate receptors
杉山 博之
1
Hiroyuki Sugiyama
1
1九州大学理学部生物学教室
pp.369-370
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900224
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「概説」
メタボトロピックグルタミン酸受容体(mGR)は神経伝達物質としてのグルタミン酸の受容体の一つであるが,イオンチャネルとは直接共役せず,むしろある種のG蛋白質と共役し,これを介して細胞内のイノシトールリン脂質代謝回転を引き起こすタイプのものを指す1)。他のG蛋白質共役型伝達物質受容体と同様,ポリペプチドモノマーとして機能し,各分子内には七つの膜貫通領域があると考えられている。この受容体の薬理学的性質は主として,アフリカツメガエル卵母細胞に外来性mRNAを注入しこの受容体を誘導した系2)と,脳スライスでイノシトールリン脂質分解を生化学的に測定する系3)の二つの系で分析されてきた。アゴニストとしては現在のところ,表1に示した七つのものが知られているが,イオンチャネル型グルタミン酸受容体と共通のものが多い。たとえば,ibotenate,L-homocystein sulfinate,NMAAはNMDA型受容体のアゴニストでもあり,quisqualateはnon-NMDA型受容体のアゴニストでもある。その点,trans-ACPDはmGRに対する選択性が高く,もっとも選択的なアゴニストと言える。アンタゴニストについては,あまり有効なものが知られておらず,とくに,従来イオンチャネル型グルタミン酸受容体に対してアンタゴニストとして作用することが知られていた薬物のほとんどが,この受容体に対して阻害効果を示さない。
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