特集 受容体1997
Ⅰ.イオノトロピック受容体
1.陽イオンチャネル内蔵型
グルタミン酸受容体
大野 益男
1
,
渡辺 繁紀
1
Masuo Ohno
1
,
Shigenori Watanabe
1
1九州大学薬学部薬理学教室
pp.330-335
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901214
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[サブタイプ]グルタミン酸受容体はイオンチャネル型受容体と代謝調節型受容体とに大別される。イオンチャネル型グルタミン酸受容体は薬理学的および電気生理学的特性から,アゴニストの一つであるN-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)に感受性のNMDA型受容体と,非感受性の非NMDA型受容体の二つのサブタイプに分類される。非NMDA受容体はさらに,α-amino-3-hydroxy-5-methyl-4-isoxazole propionic acid(AMPA)型受容体とカイニン酸(KA)型受容体とに分類される。AMPA受容体とKA受容体とは異なった受容体であることはcDNAクローニングの結果から明らかであるが,AMPA受容体はカイニン酸にも感受性を示すので,AMPA/KA型受容体と呼ばれることもある。
非NMDA受容体チャネルはNa+とK+を透過させ,主として速い興奮性シナプス伝達を担っている。一方,NMDA受容体チャネルはNa+とK+に加えてCa2+にも高い透過性を示し,かつ静止膜電位レベルではMg2+による阻害を受けている。従って,通常の興奮性伝達を担っているのは主として非NMDA受容体であり,NMDA受容体は強い刺激や高頻度の入力刺激によって活性化され,記憶学習機能などのシナプス可塑性や脳の発達過程でのシナプス形成,さらには脳虚血,アルツハイマー病,けいれんに伴う神経細胞死などに深く関与することが示唆されている。
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