特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
1.イオノトロピック受容体
2)陰イオンチャネル内蔵型
GABAA受容体
赤池 紀扶
1
Norio Akaike
1
1九州大学医学部生理学第二講座
pp.346-348
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901602
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γ-アミノ酪酸(GABA)は哺乳動物中枢神経系における代表的抑制性神経伝達物質である。受容体としてGABAA-Cが知られている。GABAA受容体は4個のサブユニットからなる五量体で,これを構成する4種類のサブユニットはα1-6,β1-4,γ1-3とδからなる膜4回貫通型である。N末端から数えて3番(M3)と4番(M4)目の膜貫通部位間の大きい細胞内ループ内にリン酸化部位があり,5個のサブユニットのM2領域両端の塩基性アミノ酸がC1-チャネル内壁を構成する。いわゆる受容体-C1-チャネル複合体である。GABAA受容体は主にシナプス下膜に存在し抗不安薬,全身麻酔薬,痙攣誘発薬や抗痙攣薬などの作用点でもあり,精神神経機能の調節に関与する。
GABAA受容体の活性化で賦活されるC1-チャネルは生理的条件下でC1-を選択的に,またC1-含む他陰イオンをSCN->Ⅰ->NO3->C1O3->C1->HCOO->BrO3->F->CH3COO->CH3CH2COO-の順に透過させる。加えて,細胞外のBr-はGABAA受容体のGABAに対する親和性を増大するし,すべての他陰イオンは細胞外よりGABAA応答の脱感作を促進する1)。
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