特集 伝達物質と受容体
1.アミノ酸
抑制性
ロードーシス制御におけるGABAAとGABAB受容体
山内 兄人
1
,
掛山 正心
2
Korehito Yamauchi
1
,
Masaki Kakeyama
2
1早稲田大学人間科学学術院神経内分泌研究室
2東京大学大学院医学系研究科疾患生命工学センター健康環境医工学部門
pp.382-383
発行日 2009年10月15日
Published Date 2009/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100882
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[用いられた物質/研究対象となった受容体]
THIP,ムシモール/GABAA受容体
バクロフェン/GABAB受容体
●ロードーシス制御機構
発情している雌ラットは,雄ラットがマウント(背部からの交尾行動)をすると反射的に腰部と頭部をあげ脊柱を湾曲させる雌特有のロードーシス行動を示す(図)。マウント時の雄前肢による皮膚刺激が中脳中心灰白質(MCG)のロードーシス統御機構につたわり,MCGの働きでロードーシスが生じる。ロードーシス行動にはエストロゲンが不可欠で,エストロゲンは視床下部腹内側核(VMN)のロードーシス促進機構を機能させ,外側中隔(LS)の抑制機構の抑制力を解除することで発情状態を誘起する。
ロードーシス制御にはいろいろな神経伝達物質をもつ神経が関係しており,GABA神経系はその一つである。発情雌の視床下部GABA量は非発情雌より多い。GABAをラットVMNに直接注入すると15分でロードーシスが低下し,拮抗剤であるピクロトキシンを注入すると促進される。したがって,総体的にGABAはロードーシスを抑制する働きをもつ。多くのGABA神経はショートアクソンをもち核内回路の一部として働いており,イオンチャネル型のGABAAと代謝型のGABABの二つのサブタイプの受容体を介して作用している。
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