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Corticotropin-releasing hormone(CRH)は,ストレス下で下垂体からのadrenocorticotropin(ACTH)の分泌を促進する向下垂体作用のみならず,種々のストレスに反応して生じる自律神経系,免疫機能,行動,情動等の変化の発現に重要な役割を担っている。CRHは,2つのG蛋白共役型受容体であるCRH受容体1と,CRH受容体2を介してその作用を発現する。また,これらの受容体に結合するCRHファミリーペプチドとして近年,ウロコルチン,ウロコルチンⅡ,ウロコルチンⅢが次々に発見された。ウロコルチンはCRHと同様に摂食抑制,不安修飾作用のほかに,心血管系に対し血圧低下作用や心保護作用が認められている。CRH受容体2の特異的リガンドであるウロコルチンⅡ,ウロコルチンⅢは摂食抑制作用を示し,さらにストレス応答を修飾する可能性が示唆されている。
はじめに
Corticotropin-releasing hormone(CRH)は,1981年にValeらによりヒツジの視床下部から単離精製された41個のアミノ酸から構成されるペプチドホルモンである1)。CRHは下垂体でのadrenocorticotropin(ACTH)の合成,分泌を促進し,視床下部―下垂体―副腎系のストレス応答の調節に中心的な役割を果たしているほかに,種々のストレスによって生じる自律神経系の変化,免疫機能の抑制,摂食抑制,性行動の抑制,情動の変化等の発現に重要な役割を担っている。CRHは2つのG蛋白共役型受容体であるCRH受容体1とCRH受容体2を介して,その作用を発現する。従来より魚類のウロテンシンⅠや両生類のソーバジンがCRH類似ペプチドとして知られていたが,近年この2つの受容体に結合する,ほ乳類のCRH類似のペプチドが次々に発見され,ウロコルチン,ウロコルチンⅡ,ウロコルチンⅢと名付けられた。本稿ではCRHとこれらのCRHファミリーペプチドの作用について述べる。
Corticotropin-releasing hormone(CRH)plays an important role in stress responses such as ACTH secretion from the pituitary and changes in autonomic nervous system, immune system, behavior and mood. These actions of CRH are mediated by its two G-protein coupled receptor, CRH receptor type 1 and 2. As members of CRH peptide family, urocortin, urocortin Ⅱ and urocortin Ⅲ have been characterized. Urocortin shows inhibition of food intake, modification of anxiety, influence on cardiovascular system. Urocortin Ⅱ and Ⅲ, specific CRH type 2 receptor ligands, decreases food intake and modify anxiety.
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