特集 器官―その新しい視点
8.感覚器
機械受容器:皮膚
井出 千束
1
Chizuka Ide
1
1京都大学大学院医学研究科生理系専攻生体構造医学・機能微細形態学講座
pp.490-493
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901139
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ポイント 軸索終末と機能の相関
哺乳類の皮膚にある機械受容器は,刺激の種類に応じて最も鋭敏に反応するように種々に分化している。それぞれの形態と生理学的な性質の相関がある程度明らかになっている。刺激に対する順応性の相違から,速い順応性と遅い順応性に分けられるが,速い順応性を示す小体は軸索終末がシュワン細胞の特殊化した層板細胞に囲まれており,遅い順応性を示す小体の軸索終末はシュワン細胞の薄い細胞質で不完全に被われているか,メルケル終末のように特殊な細胞に接して複合体をつくっている。一方,軸索終末は機械刺激を神経の興奮に変換し,層板細胞やシュワン細胞は軸索終末の環境をつくる細胞として重要であるが,そのメカニズムの分子レベルでの研究は進んでいない。
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