Japanese
English
講座 末梢神経(1)
末梢神経の構造―変性と再生を含めて
The Structure of Peripheral Nerves, with Some Comments on Their Degeneration and Regeneration.
井出 千束
1
,
遠山 稿二郎
1
,
牛木 辰男
1
Chizuka Ide
1
,
Koujiro Tohyama
1
,
Tatsuo Ushiki
1
1岩手医大医学部解剖学教室
1Department of Anatomy, Iwate Medical University, School of Medicine.
キーワード:
軸索
,
シュワン細胞
,
基底膜
Keyword:
軸索
,
シュワン細胞
,
基底膜
pp.559-566
発行日 1988年7月10日
Published Date 1988/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105861
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Ⅰ.解剖
脳と脊髄を中枢神経といい,脳・脊髄外にあるすべての神経を末梢神経系という.末梢神経系には脳から出る脳神経と脊髄から出る脊髄神経が含まれる.脳神経は12対あるが,そのうち2番目の視神経は発生からみて末梢神経ではなく中枢神経の一部である.脊髄神経は31対である.すなわち頸神経8対,胸神経12対,腰神経5対,仙骨神経5対,尾骨神経1対である,脊髄神経のうち運動線維はその細胞体を脊髄前角に持ち前根として出る.
一方,知覚線維の細胞体は脊髄神経節にあり,その中枢側の突起が後根として脊髄後角に入り,末梢側の突起は前根と一緒になって皮膚や内臓などに分布する.自律神経線維は脳神経では動眼神経,顔面神経,舌咽神経,迷走神経,脊髄神経では胸神経と上部腰神経(Th1-L2),それに仙骨神経(S2-S4)に含まれる.このうち脳神経と仙骨神経に含まれる自律神経は副交感神経であり,胸神経と上部腰神経からでる自律神経は交感神経である(図1).頸部の交感神経幹をつくる神経節は上・中・下の3つの頸神経節に集中している,上頸神経節は最も大きく,これは第1-4の胎生期神経節の癒合したもので,頭部に節後線維を送る.
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