特集 器官―その新しい視点
9.皮膚
皮膚:表皮
北島 康雄
1
Yasuo Kitajima
1
1岐阜大学医学部皮膚科学講座
pp.496-499
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901140
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ポイント 接着分子とケラチン分子の異常
表皮は高々0.1mmの厚さであるが,体表面において柔軟かつ物理的,化学的に極めて強固なシート構造を形成し,外来刺激から体内を防御している。そのために,表皮角化細胞(ケラチノサイト)は,細胞間にはデスモソーム,細胞―基質(真皮)間にはヘミデスモソームというよく発達した接着構造を配し,細胞内には強靱なケラチン中間径線維を細胞骨格として有している。さらに,基底膜部には各種の接着分子を配して基底細胞と真皮とを結合している。したがって,これらの分子構造の異常は角化異常症や水疱症の病因になることは容易に想像される。近年,これらの皮膚疾患の病態解明に対する分子医学的アプローチがきっかけになり,その病因が表皮細胞の接着分子とケラチン分子の遺伝子突然変異によることが示され,また,逆にこれらの疾患の病態解明が表皮接着分子の構造と機能の関係を明らかにしつつある。
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