特集 現代医学・生物学の仮説・学説
5.神経科学
シナプス発芽
小田 洋一
1
1大阪大学基礎工学部生物工学教室
pp.544-545
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900636
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概説
シナプス発芽はsproutingから意訳されたものであり,正確には単に発芽と訳すべきである。しかし,神経軸索が発芽(axonal sprouting)したのち新しくシナプスが形成される(synapse formation)までを含めて,しばしばシナプス発芽とよばれる。シナプス発芽は,哺乳動物の運動神経と骨格筋の間の神経―筋接合部で発見された。神経切断による部分的な除神経のあと,切断を免れた神経のランビエ絞輪または神経終末から神経側枝(collateral nerve)がのび(発芽),除神経された筋細胞を支配する現象が見いだされた(図1)。中枢神経系では感覚神経から脊髄への支配ではじめて観察されたのち,中隔核や中脳赤核や海馬などさまざまの部位で明らかにされた。発芽は一般に成熟脳よりも未成熟脳で著しくおこる。
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