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個体の老化に伴って認知,学習,記憶といった様々な脳の高次機能が低下するが,これは,ニューロン間のコミュニケーションの効率や秩序の乱れから生ずるものと考えられる。ニューロン間での神経情報はシナプスを介して行われており,シナプス機能の変化が脳機能の異常を招いていることが考えられる。多くの神経生理学的,神経化学的研究によって,老化に伴いシナプス伝達が低下することが示されている。しかし,シナプス伝達の加齢低下機構はまだ明確にされていない。大脳皮質シナプスでは,老化に伴ってアセチルコリンの放出が低下するが,この時,シナプスへのCaイオン流人と電位依存性カルシウムチャネルの異常が認められる。本稿では,シナプス伝達と,それに関わるカルシウムイオン機構,とくにシナプス電位依存性カルシウムチャネルの加齢変化について概説した。また,老化で低下したシナプス伝達を修飾する試みについても紹介する。
Synapses are functional contact points between neurons in the brain. Many electrophysiological and neurochemical studies argue that physiological aging processes reduce synaptic transmissoin in the central nervous system. The age-related impairments of brain function such as learning and memory in the elderly and aged animals are thought to be brought about by reduced synaptic transmission. However, the mechanisms of the decreased synaptic transmission are not fully understood.
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