特集 現代医学・生物学の仮説・学説
3.発生・分化・老化
生殖巣の発生
藤本 十四秋
1
1川崎医療短期大学
pp.486-487
発行日 1993年10月15日
Published Date 1993/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900617
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概説
成体にみられる構造(完成型)からは,発生過程にあるそれらの姿をおよそ想像できないものがあるが,生殖巣―卵巣と精巣―もその一つであろう。ヒトでいえば胎生5~6週の胚において,体(腹)腔の後ろに縦長の大きな体積をもって現れる生殖巣原基―生殖堤―は,はじめ男女に共通ないわば中性的構造物で,次第に容積を減じつつ分化していき,性別も確定して精巣あるいは卵巣を形成していく。またその後,最終的には機能する場所へ引っ越して行って―生殖巣の下降―,成体にみられる形ができあがる。
さて,生殖巣はその組織・細胞構成から大きく二つの要素に分けることができる。すなわち1)生殖細胞要素と2)支持ならびに構造要素とである。後者は,(A)精巣においては精細管壁で生殖細胞を支持するセルトリ細胞と,精細管の間を仕切りあるいは埋める間質組織とが属し,ここには男性ホルモンを分泌するライディヒ(間)細胞もある。一方,(B)卵巣においては卵子を取囲む卵胞の構成細胞と,卵胞の間を埋める間質組織とである。ここには女性ホルモンを分泌する細胞もある。
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