特集 〈研究室で役に立つ細胞株〉
Ⅶ.その他の細胞株
ハイブリドーマ
ニワトリDNAポリメラーゼα-プライマーゼに対するモノクローナル抗体を中心に
松影 昭夫
1
1愛知県がんセンター研究所生物学部
pp.536-537
発行日 1992年10月15日
Published Date 1992/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900504
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■樹立の経緯1)
ハイブリドーマの作成は,少なくともマウスミエローマ細胞を用いるものについては,方法論的には完全に確立され,広く普及しており改めて記述する必要はないであろう。抗体の検出法さえ確立しておけば,どのような抗原に対するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマも樹立することは可能であり,また一旦樹立すると,得られる抗体量は労さえ厭わなければ無限である。得られている抗体やその利用法は多岐にわたり,いまや膨大な情報が蓄積されている。ここでは一つの例として,われわれの行ってきたモノクローナル抗体を用いたDNA複製酵素の解析について概説する。
われわれのグループでは1979年から,ニワトリ胚を材料にして,当時知られていた3種のDNAポリメラーゼ(以下polと略す)の系統的な精製を始め,約1年後にはその方法を確立していた。当初から,抗体を作成し将来は遺伝子クローニングまで行うことを目的としていた。ニワトリを選んだ理由は,安価なこと(受精卵でよい)の他に,哺乳類のものより高い抗原性を持つと期待していたためである。高い純度の標品が得られたpolβとγについては,従来の方法でポリクローナル抗体を作成し,収率を犠牲にしても純度が80%程度にしか上がらないpolαに対してはハイブリドーマ法を選んだ。
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