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特集 神経系に作用する薬物マニュアル
Ⅲ.代謝的に作用する薬物
酵素活性に影響する薬物
ピリドキサルキナーゼ阻害剤・活性化剤
Pyridoxal kinase inhibitor (s) and activator (s)
藤田 道也
1
Michiya Fujita
1
1浜松医科大学生化学第2講座
pp.491
発行日 1991年10月15日
Published Date 1991/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900267
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「概説」
ピリドキサルリン酸pyridoxal phosphateは一般にトランスアミナーゼの補酵素である。他に,グルタミン酸デカルボキシラーゼにも必要であるが,スルホトランスフェラーゼには阻害剤として働く。ピリドキサルをリン酸化してピリドキサルリン酸を作るのが酵素ピリドキサルキナーゼの働きである。ピリドキサルキナーゼを阻害するmethylxanthineは本来アデノシン受容体のアンタゴニストである。
亜鉛はピリドキサルキナーゼ活性を促進するが,海馬には亜鉛が高濃度に含まれている。海馬の中でもhilusにもっとも高く,fimbriaでもっとも低い。mossy fiberではその濃度は300~350μMに達する。ピリドキサルリン酸と亜鉛の欠乏ないし過剰はてんかん様のけいれんを惹き起こし,GABAによって阻止される。海馬は外来神経毒の標的であるが,高濃度の遊離亜鉛は海馬に対する内因性神経毒だと言える。高濃度の遊離亜鉛はピリドキサルリン酸の酵素タンパクへの結合を妨げることによって,グルタミン酸デカルボキシラーゼ活性を阻害する。亜鉛は海馬でメタロチオネイン様のタンパクに結合しているらしい1)。
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