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特集 がん遺伝子の発見は現代医療を進歩させたか
Ⅰ.がん遺伝子研究の新しい展開
阻害薬による標的キナーゼの構造的活性化とがん増殖シグナルの誘発
Structural activation of target kinases and cancer cell proliferation induced by kinase inhibitors
渡邊 直樹
1,2
Watanabe Naoki
1,2
1京都大学大学院医学研究科神経・細胞薬理学分野
2京都大学大学院生命科学研究科分子動態生理学分野
キーワード:
チロシンキナーゼ阻害薬
,
アロステリック効果
,
Src
,
逆説的活性化
,
ゲートキーパー変異
Keyword:
チロシンキナーゼ阻害薬
,
アロステリック効果
,
Src
,
逆説的活性化
,
ゲートキーパー変異
pp.332-335
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201703
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がん関連キナーゼを阻害する低分子化合物が数多く導入されている。筆者らは,ライブセルイメージングを用い,キナーゼ阻害薬がc-Srcの自己抑制構造を崩し活性型に変化させることを発見した。SRC遺伝子に薬剤抵抗性変異を持つ細胞では,阻害薬は効果を失うだけでなく,かえってSrc下流のシグナルカスケードを活性化し細胞増殖を促進する。この逆説的薬物作用は,キナーゼ阻害薬の治療抵抗性と作用スぺクトラムについての再考を促している。
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