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特集 がん遺伝子の発見は現代医療を進歩させたか
Ⅰ.がん遺伝子研究の新しい展開
Raf遺伝子異常を標的とした治療
Translating the discovery of the Raf oncogene into clinical practice
衣斐 寛倫
1,2
Ebi Hiromichi
1,2
1愛知県がんセンターがん標的治療TR分野
2愛知県がんセンターゲノム医療センター
キーワード:
BRAF
,
フィードバック機構
,
クラス変異
,
paradoxical activation
Keyword:
BRAF
,
フィードバック機構
,
クラス変異
,
paradoxical activation
pp.295-299
発行日 2023年8月15日
Published Date 2023/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201696
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RAFタンパク質は,RASと並びMAPKシグナルの主要構成分子である。BRAF遺伝子変異は,RAS遺伝子変異より20年も遅れて発見されたが,阻害薬の開発が容易であったため臨床応用がスムーズに進んだ。現在,BRAF阻害薬は,V600E変異を有するメラノーマ,大腸がん,肺がん,甲状腺がんの治療薬として承認されている。MAPKには活性状態を一定にするため精緻なフィードバック機構が存在することが知られていたが,BRAF阻害薬の効果減弱や耐性化にフィードバック機構が関与することが明らかになり,シグナルの分子機構の理解が治療効果の改善につながることを示す好例とも言える。
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