特集 シナプスをめぐるシグナリング
4.Gタンパク
シナプス可塑性におけるRafとRafキナーゼ抑制蛋白の役割
田中(山本) 敬子
1
,
黒田 真也
1
Keioko Tanaka(Yamamoto)
1
,
Shinya Kuroda
1
1東京大学大学院 理学系研究科 生物化学専攻
pp.430-431
発行日 2010年10月15日
Published Date 2010/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101036
- 有料閲覧
- 文献概要
- 参考文献
シナプスにおける神経伝達効率がある種の刺激の後に長期的に増加,減少するシナプス可塑性は,脳内の様々なシナプスで観察され,古くからそのメカニズムに関する研究は積極的に進められてきた。これまでに,抑制剤や遺伝子操作を用いた研究により,それぞれのシナプス可塑性に関与する数多くのシグナル分子が明らかになっている。
さまざまなシナプス可塑性においてERKの活性が必要であることが知られている一方で,その上流分子であるRafや,Rafの機能を恒常的に抑制するRafキナーゼ抑制蛋白(RKIP)のシナプス可塑性への関与は,あまり検討されていない。しかし現在,単一の分子に着目するだけではなく,シナプス可塑性に関与する分子の相互関係,あるいはこれらの分子やそのシグナルネットワークがどのようにシナプス可塑性の特徴を引き出すのか,といったダイナミックな課題が注目されつつあり,その一例としてRafやRKIPを含むポジティブフィードバック機構の重要性が提唱されてきている。
Copyright © 2010, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.