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特集 スポーツ科学—2020オリンピック・パラリンピックによせて
アスリートの睡眠と時差調整
Athletes' sleep and treatment for jet lag syndrome
星川 雅子
1
Hoshikawa Masako
1
1国立スポーツ科学センタースポーツ研究部
キーワード:
睡眠
,
生体リズム
,
時差調整
,
トップアスリート
Keyword:
睡眠
,
生体リズム
,
時差調整
,
トップアスリート
pp.243-248
発行日 2020年6月15日
Published Date 2020/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201164
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睡眠は,心身両面の休息・回復のほか,意欲,気分,集中力,判断力,記憶力など高次機能を保つために重要な役割をしているといわれる1)。アスリートにおいてもそれは同様であり,夜間睡眠の制限・断眠がスポーツパフォーマンスに悪影響2-5)を,夜間睡眠の延長が好影響6)を及ぼすこと,午後の仮眠が夕刻のパフォーマンスに好影響を及ぼすこと7-9)などが報告されている。また,ふだん8時間の夜間睡眠をとっている人が5時間睡眠を1週間続けたところ,成長ホルモンの分泌量(1日あたり)が減少したという報告10)もあり,レジスタンストレーニングの効果に影響を及ぼす可能性もある。
近年,コンディショニングの一環として,睡眠に心を配るアスリートが増えつつある。睡眠は,質,時間,リズム(スケジュール)の点から評価されるが,忘れてはならないのは,「日中に眠気がなく,状態よく活動できるか」という視点である。そして睡眠の状態がよくないと評価された場合,睡眠障害のようにドクターに相談すべき状態と,睡眠衛生のように相談相手がかならずしもドクターでなくてもよい状態のどちらかを判断し,対処することとなる。
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