特集 ビッグデータ時代のゲノム医学
特集「ビッグデータ時代のゲノム医学」によせて
池川 志郎
1
1理化学研究所生命医科学研究センター骨関節疾患研究チーム
pp.90
発行日 2020年4月15日
Published Date 2020/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425201130
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「大きいことはいいことだ」—高度経済成長期が少年時代だった人間には大変懐かしいスローガンを日々,耳にします。タクトを振りまわすお髭のおじさんは見当たらないけれども,ビッグデータによるデータサイエンスが,世の中を席巻しています。技術の革新は社会を根底から変えていく。その変化の速度は,概ね,当初の予想よりもはるかに早い。今回はどうかしら?
「数は力なり」—確かに実世界,これまでの人生ではそうだったけれど,医学研究の世界でも? う〜ん,泣きじゃくる病気の子どもから何時間もかけてやっととった理学所見や,試薬作りから工夫の限りを凝らしたwetの実験の成果が,病院の窓口の事務のお姉さんがくれる会計のレシートや,集団検診の問診票の束にかなわないなんていうのは,創意工夫と長時間労働で生き抜いてきた下町工場ラボの「関西人」の親父にはちょっと悲しいので,つい,ホンマかいな? とツッコミを入れてしまいます。「ビッグデータ時代のゲノム医学」—元臨床医で,医学の話しかわからない自分には荷が重いテーマですが,自らの疑問に答えるためにも,挑戦してみました。
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