Japanese
English
解説
天敵のにおいによるマウスの恐怖応答をつかさどる神経回路
Neural circuits regulating mouse fear responses induced by predator odors
近藤 邦生
1
Kondoh Kunio
1
1自然科学研究機構生理学研究所生体機能調節研究領域生殖・内分泌系発達機構研究部門
キーワード:
恐怖
,
天敵のにおい
,
嗅覚
,
AmPir
Keyword:
恐怖
,
天敵のにおい
,
嗅覚
,
AmPir
pp.68-71
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200952
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
身の回りの様々な危険を感じ適切に対処することは,われわれヒトを含む動物が生き残るために重要である。動物は五感すべての感覚を用いて危険を察知するが,齧歯類など多くの動物では,揮発性の化学物質(におい物質)に対する感覚,すなわち嗅覚が重要な役割を果たしている。代表的な例が,天敵のにおいに対するマウスの恐怖反応である。マウスは天敵から分泌されるにおいに対して恐怖の反応を示し,逃れようとする。この恐怖反応は,天敵に遭遇した経験のない実験室のマウスでも起こる,本能的な反応である。
近年,遺伝子改変マウスや光遺伝学など,神経回路解析のための様々な技術の発達により,天敵のにおいを検出して恐怖反応を引き起こすメカニズムが明らかになりつつある。外界の刺激(におい)に対する本能的恐怖のしくみを理解することにより,われわれヒトが恐怖を感じるメカニズムに対しても理解が進むことが期待できる。本稿では,マウスにおいて天敵のにおいの情報が鼻から脳へ伝えられ,恐怖反応が起こるしくみについて,概説する。
Copyright © 2019, THE ICHIRO KANEHARA FOUNDATION. All rights reserved.