Japanese
English
特集 いかに創薬を進めるか
NMRで標的タンパク質の機能から創薬を
Acceleration of drug development with function-related conformational dynamics of proteins revealed by NMR
上田 卓見
1,2
,
嶋田 一夫
1
Ueda Takumi
1,2
,
Shimada Ichio
1
1東京大学大学院薬学系研究科生命物理化学教室
2JST戦略的創造研究推進事業さきがけ
キーワード:
NMR
,
GPCR
,
膜タンパク質
,
構造生物学
,
オピオイド受容体
Keyword:
NMR
,
GPCR
,
膜タンパク質
,
構造生物学
,
オピオイド受容体
pp.315-319
発行日 2018年8月15日
Published Date 2018/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200823
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薬物は,立体構造を形成したタンパク質に作用して,薬理作用を発揮する。薬物が作用するタンパク質の立体構造の情報は,薬物の作用機序の解明や,立体構造に基づく薬剤の探索を可能とするものであり,創薬において必須である。現在までに,X線結晶構造解析や極低温電子顕微鏡により様々なタンパク質の精緻な立体構造が多数解かれている。しかし,これらの手法で得られる立体構造は静的なスナップショットであり,生理的な溶液環境下における活性と直結した構造であるとは限らない。一方,生理的な環境下において,タンパク質が複数の立体構造の動的構造平衡状態にあることが明らかになってきている。
核磁気共鳴法(nuclear magnetic resonance;NMR)は,溶液中におけるタンパク質の動的構造平衡を解析できる唯一の手法である。多様なNMR試料調製法およびNMR測定法を駆使することにより,タンパク質がどのような構造の間をどのような速度および量比で交換しているか,という動的構造平衡の情報を取得することが可能である。
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