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AMP-activated protein kinase(AMPK)は,α,β,γのサブユニットで三量体を形成する。ほとんどの真核生物に保存されていて,細胞内のAMP濃度が上昇すると活性が上昇し,エネルギー欠乏状況を感知するセンサーの役割を果たしている。それぞれのサブユニットにα1とα2,β1,β2,γ1,γ2,γ3とアイソフォームがある1)。αサブユニットのN端にセリン・スレオニンキナーゼ活性を有する。βサブユニットがアダプターとなってγサブユニットと三量体を形成している。γサブユニットにはCBSモチーフがあり,細胞内AMP濃度が上昇しCBSモチーフに結合すると,三量体の立体構造が変化し,αサブユニット(ヒトでは172スレオニン)が上流のキナーゼであるLKB1によってリン酸化を受けて活性型となる2)。ADP濃度が上昇し,CBSモチーフに結合することでもAMPKが活性型になることも明らかとなっている。また,細胞内Ca2+濃度が上昇すると,calcium/calmodulin-dependent protein kinase kinase-β(CaMKK-β)によってもリン酸化を受けて活性型になる。AMPKの生理的な脱リン酸化酵素はまだ確定していないが,PP1,PP2A,PP2Cなどにより脱リン酸化される。
AMPKは,図に示すように,細胞内のエネルギー欠乏状況を感知すると活性型になり,下流の様々なタンパク質をリン酸化して,糖脂質代謝,タンパク質代謝,ミトコンドリア生合成などを調節することで,同化を抑制し異化を促進しエネルギー状況を改善する3)。図以外にもオートファジーの促進やSirt1との相互作用,細胞周期の制御,炎症の調整なども報告されている4)。
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