Japanese
English
特集 エネルギー代謝異常と腎疾患
AMPKと腎臓病
Regulation of AMPK in kidney disease
菊池 寛昭
1
,
蘇原 映誠
1
Hiroaki KIKUCHI
1
,
Eisei SOHARA
1
1東京科学大学病院血液浄化療法部
キーワード:
慢性腎臓病(CKD)
,
AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)
,
代謝性アシドーシス
,
尿毒素
Keyword:
慢性腎臓病(CKD)
,
AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)
,
代謝性アシドーシス
,
尿毒素
pp.277-282
発行日 2025年7月26日
Published Date 2025/7/26
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294040277
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腎臓は,老廃物除去や電解質制御など,体内の恒常性を維持するために大量のエネルギーを必要とする臓器のひとつであり,エネルギーの需要・供給バランスの破綻が腎機能障害の増悪に影響することが近年の研究で明らかにされてきている.なかでも,AMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)はヒトから酵母まで真核細胞に高度に保存されているセリン・スレオニンキナーゼ(セリン・スレオニンリン酸化酵素)の一種で,代謝物感知タンパク質キナーゼファミリー(metabolite-sensing protein kinase family)のメンバーであり細胞内のエネルギーセンサーとして重要な役割を担っている.AMPKは異化を亢進させることで細胞内のエネルギー産生を亢進させ,同化を抑制することで細胞内のエネルギー消費を抑制するマスターレギュレーターであると同時に,オートファジー促進,細胞増殖制御,細胞極性の維持,炎症の抑制,酸化ストレス応答の調節などにも関与することが報告されており,その役割は多岐にわたる.本稿では,腎臓におけるAMPKの活性化が治療のターゲットとなりうるかどうかという点に軸を置きながら,最新の知見を交えて,概説する.

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