増大特集 細胞シグナル操作法
Ⅰ.分子からみたシグナル操作法
1.セカンドメッセンジャー
イノシトールリン脂質シグナル
松岡 里実
1
,
上田 昌宏
1
Matsuoka Satomi
1
,
Ueda Masahiro
1
1理化学研究所生命システム研究センター細胞シグナル動態研究グループ
キーワード:
PtdIns(3,4,5)P3
,
PHドメイン
,
一分子イメージング
,
オプトジェネティクス
,
CID
Keyword:
PtdIns(3,4,5)P3
,
PHドメイン
,
一分子イメージング
,
オプトジェネティクス
,
CID
pp.392-393
発行日 2015年10月15日
Published Date 2015/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200273
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イノシトールリン脂質は,細胞増殖,運動,免疫応答などにおける情報伝達や,受容体の取り込み,シナプス小胞による神経伝達,オートファジーなどの小胞輸送において本質的な役割を担うシグナル分子である。イノシトール環のリン酸化状態の異なる8種類が存在し,総称してホスホイノシタイド(phosphoinositide;PI)と呼ばれる(図)1)。すべてのPIは小胞体の膜上で生成されるホスファチジルイノシトール(phosphatidylinositol;PtdIns)から生成される。小胞やタンパク質を介して細胞内膜系の各所に輸送されると,その膜系に特異的なリン酸化・脱リン酸化酵素によって各種のPIが産生される。例えば,形質膜ではPI4KAによってリン酸化されてPtdIns(4)Pが生じ,更にPIP5KによりPtdIns(4,5)P2が生成する。ゴルジ体の膜上ではPI4KBによってPtdIns(4)Pが生じるが,PIP5KがなくPtdIns(4,5)P2は存在しない。細胞内膜系ごとに特徴的なPIの分布をシグナルとして様々なタンパク質がリクルートされ細胞機能の発現にかかわる。
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