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はじめに
神経伝達物質や変調物質は,受容体を刺激しイオンチャンネルを開閉することにより,イオンの透過性を変え膜興奮性を生じたり変調したりする。その作用様式は4つあると考えられている(図1)。第1は,受容体分子内にイオンチャンネル機構(ボア)を備えているもので,受容体の結合—イオンの透過性が自身の分子内で完結する。第2は,心臓のムスカリン性アセチルコリンや受容体のアドレナリン性α受容体で示された例で,受容体がGTP結合タンパク質と結合し,GTPタンパク質から(たぶん直接)内向き整流K+チャンネルあるいはNやI型のCa2+にシグナルを伝え,活性化したり抑制したりする。第3の様式は,多くの下等動物神経細胞でみられるように,アデニル酸シクラーゼを活性化した後,cAMP依存性プロテインキナーゼによりチャンネルタンパク質をリン酸化し,K+電流を抑制し変調を行なうやり方である。第4番目は,受容体—GTP結合タンパク質複合体がフォスフォリパーゼCを活性化し,生じたイノシトールリン脂質代謝産物であるイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)が細胞内セカンドメッセンジャーとして働き,チャンネルを制御するという様式が哺乳類腫瘍細胞でみつかった。ここでは最後の反応の例として,ニューロブラストーマ細胞のブラジキニン受容体によるイオンチャンネル制御機構について述べる。
The role of second messengers (inositol 1,4,5-trisphosphate and diacylglycerol) on membrane conductance was examined in voltageclamped NG108-15 neuroblastoma x glioma hybrid cells. A brief local application of bradykinin (BK) evoked a transient outward current, followed by a sustained inward current. The initial outward current was duplicated by intracellular injections of inositol 1,4,5-trisphosphate. The second inward current was replicated by extracellular perfusion with phorbol 12,13-dibutyrate. The result suggests a dual, time-dependent role for these two intracellular messengers in the modulation of membrane excitability by BK.
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