増大特集 生命動態システム科学
Ⅲ.合成生物学
4.オプトジェネティクス
(4)細胞内情報伝達分子の時空間的に精密な制御
小柳 光正
1,2
Koyanagi Mitsumasa
1,2
1大阪市立大学大学院理学研究科
2JSTさきがけ
pp.522-523
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200070
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■細胞内情報伝達分子
細胞は様々な刺激に対して適切に応答することで個体の生命活動を支えている。細胞外刺激(例えば化学物質)は多くの場合,まず細胞膜表面に存在する受容体タンパク質によって捉えられ,その情報は刺激を受けて活性化された受容体タンパク質によって細胞内に伝えられる。細胞内では幾つかのタンパク質の相互作用による情報伝達が行われ,その過程あるいは結果として細胞内情報伝達分子である環状ヌクレオチドやカルシウムイオンなどの小分子の濃度変化が生じる。
様々な刺激を受容するための受容体の数は,例えば三量体Gタンパク質を介したシグナル伝達系を駆動する,Gタンパク質共役型受容体(GPCR)に限ってもヒトで数百種類にも上る。一方,受容体が受けた情報を細胞内で伝える役割を担う細胞内情報伝達分子の数はわずか数種類である。すなわち,様々な刺激と受容体タンパク質との膨大な組み合わせによって始まる細胞応答も,わずか数種類の細胞内情報伝達分子の変化として理解することができる。
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