増大特集 生命動態システム科学
Ⅲ.合成生物学
3.摂動技術
(1)細胞表面における情報伝達の制御により細胞貪食を誘導
小松 徹
1,2
,
大沼 裕樹
1,2
,
井上 尊生
1,2
Komatsu Touru
1,2
,
Oonuma Hiroki
1,2
,
Inoue Takanari
1,2
1ジョンズホプキンス大学医学系研究科細胞生物学部
2東京大学薬学系研究科
pp.508-509
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200063
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■はじめに—生体を制御する化学
細胞は多数のシグナル分子が複雑なシステムを形成し,恒常性を維持している。この動的なシステムの成り立ちを理解する目的において,これらの構成因子の働きに摂動を与え,その応答を調べる研究手法が広く用いられている。遺伝子発現,ノックダウンといった転写レベルで標的タンパク質のレベルを制御する手法は有用なものであるが,その摂動にかかる時間が長く,不適当である場面がしばしば訪れる(図1A)。生体は速い時間スケールの生命現象の制御においては,遺伝子レベルではなく,既に発現しているタンパク質の構造変化,タンパク質間相互作用の制御,局在の変化といったタンパク質レベルの制御によってこれを達成している。そして,これらの機能変化を有機小分子を用いたタンパク質の迅速な二量体化によって制御する新たな摂動系が近年相次いで開発され,非常に有用な研究ツールとして発展を遂げている。
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