増大特集 生命動態システム科学
Ⅱ.数理生物学
4.転写
(2)遺伝子転写機構の時空間シミュレーション
大田 佳宏
1,2
,
井原 茂男
1,2,3
Ohta Yoshihiro
1,2
,
Ihara Sigeo
1,2,3
1東京大学大学院数理科学研究科
2生命動態システム科学推進拠点事業 転写の機構解明のための動態システム生物医学数理解析拠点(iBMath)
3東京大学先端科学技術研究センター
pp.460-461
発行日 2014年10月15日
Published Date 2014/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425200039
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■遺伝子転写機構と数理シミュレーション
遺伝子の転写とはDNA配列を鋳型にRNA polymerase Ⅱ(RNAP Ⅱ)という酵素によって遺伝子が読まれRNAが合成される現象を指す。このRNA配列からアミノ酸やタンパク質が作られるため,遺伝子の転写機構は“生命の基本原理”と考えられており,そのメカニズムの解明が非常に重要視されている。一方で転写の生成物であるRNAは時間変異性が高く微小不均一性を持つため,細胞を用いた実験において高時間分解能の現象観察を行うことは難しいのが現状である。そこで,観察不可能な領域における高分解能の検証を可能とし,さらに構築したモデルの再現性を保証するため,超離散系シミュレーションなどの数理科学的手法が必須となってくる。
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