Japanese
English
解説
メタボローム研究をどうすすめるか
A strategy for metabolomics
田口 良
1
Ryo Taguchi
1
1東京大学大学院医学系研究科分子細胞生物学専攻メタボローム寄付講座
pp.360-367
発行日 2004年8月15日
Published Date 2004/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100719
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メタボロームmetabolomeとは特定の環境下における生体や細胞の代謝分子の総体を意味し,この解析を目指す学問分野はメタボロミクスmetabolomicsと呼ばれている。メタボローム解析はポストゲノム研究の重要な課題であるタンパク質の機能解析において,ゲノム,プロテオーム解析とともに,欠かすことができないものと考えられ始めている。今後,メタボローム解析と,それに関与するトランスクリプトーム解析,プロテオーム解析を対応させて位置づけることにより,詳細な代謝パスウェイの解明が可能になると予想される。
このメタボロームに関連する研究においては,質量分析法(MS)がその解析手段として極めて有効であることがわかってきた。さらに,2002年のノーベル賞の対象になったエレクトロスプレーイオン化(ESI)やマトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)などのソフトイオン化法の出現と共に,MSの利用方法に一種のパラダイム変換が起ころうとしている。つまり,MSによる分析手法が特定の生理的現象の背後に関与する生体分子を推定する目的で用いられるようになってきた。この解析の特徴はある遺伝子,または生理的,病理的環境などの特定要因の異なった複数の系における,多数の構成分子を網羅的に分析し,そのプロファイルを比較することにより,最も可能性の高い因子を探り出すという考え方に立っている。

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