今月の主題 キャピラリー電気泳動法
話題
CE-MSを用いたメタボローム解析
西岡 孝明
1,2
,
曽我 朋義
3
Takaaki NISHIOKA
1,2
,
Tomoyoshi SOGA
3
1京都大学大学院農学研究科応用生命科学専攻生物機能制御化学研究室
2慶應義塾大学先端生命科学研究所
3慶應義塾大学先端生命科学研究所・環境情報学部
キーワード:
CE-MS
,
μLC/CE2次元分離
Keyword:
CE-MS
,
μLC/CE2次元分離
pp.1015-1020
発行日 2005年9月15日
Published Date 2005/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100252
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1.はじめに
mRNAや蛋白質の網羅的解析によって多量のデータが得られるにもかかわらず,それらが複雑なクラスターやネットワークで互いに関係づけられているので,ごく一部のデータしか利用されていない.多くのデータはその生物学的意味を解釈できずに放置されている.この解釈がバイオインフォマティクスの課題といえる.
この課題に対して,メタボロームが1つの解決策を与えることがわかってきた.すなわち,メタボロームのデータの上にトランスクリプトームやプロテオームのデータを重ね合わせると,これまで不明瞭であった後者2つの生物学的意味がわかりだしてきたのである1).すなわち,メタボロームはゲノム情報が環境と相互作用するシステムである,ことが認識されつつある.したがって,メタボロームの化学分析は,ゲノム科学をはじめ科学や医療,創薬,生物工学の分野で必要不可欠な技術となっている.
本章では,われわれが実用化に成功したCE-MSを用いた水溶性代謝物質のメタボローム化学分析法について技術解説を行う.
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