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炎症は生体防御における統合的システムであり,多種多様な細胞群が協調的,かつ系統的に駆動することで,生体防御を成し遂げる。例えば,皮膚損傷が起こると,血液凝固と共に血小板から放出されたロイコトリエンやケモカインが白血球を呼び寄せ“腫脹”を起こし,そこから放出されたインターロイキン類は血管透過性を亢進させて“発赤”を起こし,更に血清中から分解産生されたブラディカイニンが知覚神経を刺激して“疼痛”を誘発し,血小板中に含まれていた細胞増殖性サイトカインが組織の修復を促す。細菌やウイルスの感染でも,その成分分子が局所のTOLL様分子を刺激して同様なことが起こり,このような炎症システムが駆動するのである。このように一連の組織だった生体防御反応を多種多様な細胞群に命令し,統合的な炎症反応を引き起こさせる分子群こそが“サイトカイン”なのである1)。
サイトカインは,通常アミノ酸数30-500程度の比較的大きなポリペプチドに該当し,アミノ酸数30以下のペプチドを除外することが多い。また,その機能性から大きく三つに分類される。炎症を駆動させる炎症性サイトカイン,逆に炎症を沈静化させる抗炎症性サイトカイン,細胞増殖をも促す増殖性サイトカインである。炎症性サイトカインにはインターロイキン類やケモカインなどがあり,抗炎症性サイトカインには内在性のインターロイキンアンタゴニストやその受容体の細胞外ドメインなどがある。一部のサイトカインには上皮細胞や線維芽細胞に対し,強い細胞増殖能を持つ細胞増殖性サイトカインがある。これらの炎症生体防御システムには,大きな副作用も随伴するため,平常時では厳密にコントロールされている必要がある。通常,抗炎症性サイトカインや副腎髄質ホルモンが炎症生体防御システムの暴走を防いでいる。しかし,いったん,この制御システム自身が崩壊すると,リウマチ熱,喘息,クローン病といった慢性の炎症疾患に見舞われてしまうのである2)。
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