Japanese
English
特集 精神疾患の病理機構
ミクログリアとシナプス
Microglia and synapse
宮本 愛喜子
1
,
和気 弘明
1
,
鍋倉 淳一
1
Miyamoto Akiko
1
,
Wake Hiroaki
1
,
Nabekura Junichi
1
1総合研究大学院大学 生命科学研究科 生理科学専攻,自然科学研究機構 生理学研究所 生体恒常機能発達機構研究部門
pp.32-36
発行日 2014年2月15日
Published Date 2014/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101573
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シナプスの異常が精神疾患に大きな影響を与えることがこれまでの研究で明らかになってきている1,2)。これまでシナプス前部における小胞の膜結合に関する分子の発現異常3),シナプス前部と後部を結合する分子の異常4)など,神経細胞間の伝達異常が精神疾患の発症にかかわっていることが示唆されている。一方で,近年ミクログリアが生理的条件下においてシナプスに対して様々な影響を及ぼしていることが知られてきており,ミクログリアの異常によってシナプス伝達に異常を来し,精神疾患に影響を及ぼす可能性が考えられる5)。ミクログリアは中枢神経系において免疫機能を担っているグリア細胞で中枢神経系内の細胞のうち10%程度を占める6,7)。これまで,傷害・病態時のミクログリアは活性化し,傷害・病態部へ遊走,死亡した細胞や細胞片などを貪食によって取り込むなどの役割があることが明らかとなっている8)。一方で正常時においても,これまで“非活性型”と言われてきたラミファイド型ミクログリアが活発にその突起を動かし9-11),シナプスと接触する様子が観察されていて10,11),正常脳におけるミクログリアの働きが明らかになりつつある。本総説ではミクログリアのシナプスに対する影響に焦点を当て,近年のミクログリアとシナプスに関連する報告について解説する。
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