増大特集 細胞表面受容体
●構造的特徴:11回膜貫通型◆受容体の遺伝子:NCX1(SLC8A1)
グリア細胞Na+/Ca2+交換系の病態生理学的役割
田熊 一敞
1
,
吾郷 由希夫
1
,
松田 敏夫
1
Takuma Kazuhiro
1
,
Ago Yukio
1
,
Matsuda Toshio
1
1大阪大学大学院 薬学研究科 薬物治療学分野
pp.384-385
発行日 2013年10月15日
Published Date 2013/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101477
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細胞内カルシウムイオン([Ca2+]i)は,細胞の生存・分化,膜興奮,シナプス活動など多様な生理機能に関与するセカンドメッセンジャーである一方で,過剰な[Ca2+]i上昇は様々な病態発現に寄与することが知られている。細胞膜Ca2+輸送タンパク質の一つであるNa+/Ca2+交換系(NCX)は,他の2種の細胞膜Ca2+輸送タンパク質(Ca2+チャネルおよびCa2+-ATPase)と異なり,細胞内外の両方向性にCa2+を輸送する能力を有しており,細胞膜を介したNa+濃度勾配・電気化学的勾配に依存して,細胞外へのCa2+排出(順モード)と細胞内へのCa2+流入(逆モード)が切り替わることが知られている。また,NCXは他の輸送系タンパク質に比べてCa2+輸送能が大きく,[Ca2+]i恒常性の維持において,より重要な役割を担うと考えられている1)。
筆者らはこれまでに,脳の主要グリア細胞であるアストロサイトにおけるNCXの存在を明らかとし,in vitro虚血-再潅流障害モデルでの遅発性アポトーシスにおけるNCXの病態的意義を明らかにしてきた1,2)。
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