特集 細胞の分子構造と機能―核以外の細胞小器官
4.ミトコンドリア
パーキンソン病の発症機構とミトコンドリア
松田 憲之
1
,
田中 啓二
1
Noriyuki Matsuda
1
,
Keiji Tanaka
1
1東京都医学総合研究所 蛋白質代謝研究室
pp.438-439
発行日 2012年10月15日
Published Date 2012/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101347
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ミトコンドリアは生体内で必須の役割を担っている細胞内小器官であり,主な役割だけでもTCA回路やβ酸化などの代謝系,細胞内のカルシウムや鉄濃度の調整,効率的なATP合成などが知られている。一方でパーキンソン病(Parkinson's disease;PD)は高い罹患率を示す神経変性疾患であるが,最近,少なくともその一部がミトコンドリア品質管理の破綻によって発症することが示された。つまり,家族性劣性若年性PDの原因遺伝子産物であるPINK1とParkinは協調して異常ミトコンドリアをユビキチン化することで異常ミトコンドリアを分解/あるいは隔離し,最終的に細胞内ミトコンドリアの健強性を維持することが報告されている。この過程において,マイトファジーといわれる選択的なオートファジーの関与が提唱されて注目されている。本稿では,「PDの発症にミトコンドリアが関与する」ことがどのように証明されてきたのか,研究の歴史を振り返ってみたい。
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