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核内受容体はDNA結合領域とリガンド結合領域を有する転写因子型の受容体であり,ヒトにおいて48種類の存在が知られている。核内受容体は,1)ステロイドホルモン受容体,2)ホモ二量体型オーファン受容体,3)retinoid X receptor(RXR)ヘテロ二量体型受容体,4)単量体型またはその他の受容体の4種類に大きく分類できる。ビタミンD受容体(VDR)はオキシステロール受容体liver X receptor,胆汁酸受容体farnesoid X receptor,生体異物受容体pregnane X receptorと同じく,RXRヘテロ二量体型受容体である。生体内で最も重要なVDRリガンドは,1α,25-ジヒドロキシビタミンD3(1,25(OH)2D3)である1)。コレステロール生合成系の中間代謝産物である7-デヒドロコレステロールが,紫外線の作用によりプレビタミンD3を経てビタミンD3に変換される。そして,肝臓での25水酸化,腎臓での1α水酸化を経て活性型の1,25(OH)2D3になる。食物由来のビタミンD3やビタミンD2も同様の水酸化反応を受ける。1,25(OH)2D3はVDRに作用することで骨・カルシウム代謝をはじめとして,炎症・免疫,心血管機能,細胞の増殖・分化,胆汁酸代謝など様々な生体機能を調節する。また,VDRとpregnane X receptorなどの近縁の核内受容体との類似性に着目した研究により,二次胆汁酸であるリトコール酸がVDRのリガンドであることが明らかにされた1)。肝臓においてコレステロールを原料にコール酸やケノデオキシコール酸などの一次胆汁酸が合成される。消化管に分泌された一次胆汁酸の一部は,腸内細菌によりデオキシコール酸やリトコール酸などの二次胆汁酸に変換される。1,25(OH)2D3やリトコール酸によって活性化したVDRは,生体異物代謝系を誘導して胆汁酸代謝に影響を与える。VDRは骨・カルシウム代謝疾患のほか,悪性新生物,感染症・自己免疫炎症性疾患,心臓血管系疾患などの疾患においても有望な分子標的とされており,多くの合成リガンドが開発されている。種々のリガンドのVDR作用の研究により,VDRの活性化機構が解明されつつある。
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