特集 細胞核―構造と機能
2.核膜孔複合体
Importin αの多様性と生理的機能
盛山 哲嗣
1
,
米田 悦啓
1
Tetsuji Moriyama
1
,
Yoshihiro Yoneda
1
1大阪大学大学院 生命機能研究科 細胞ネットワークグループ
pp.394-395
発行日 2011年10月15日
Published Date 2011/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101182
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真核細胞ではゲノムDNAが核を覆う核膜により隔てられている。そのため,核膜上にある核膜孔を介した核-細胞質間分子輸送は,様々な生命現象にとって重要な役割を担っている。
核-細胞質間分子輸送のなかで,代表例としてimportin αとimportin β1によるタンパク質の核内輸送がある。転写因子や複製因子など核で働くタンパク質の多くは,その分子内に核へ移行するための塩基性アミノ酸に富んだ配列「核移行シグナル(nuclear localization signal;NLS)」を持っている。その配列を受容体であるimportin αが認識する。そして核膜孔複合体と親和性のある輸送担体importin β1と三者複合体を形成し,エネルギー依存的に核へと選別輸送される。その後,核内ではRanと呼ばれる主として核内に局在を示す低分子量GTPaseがimportin β1に結合して三者複合体から輸送基質の解離を促し,importin αとimportin β1はそれぞれ細胞質へとリサイクルされる。
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