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特集 ライソゾーム
ライソゾームシステインプロテアーゼの多様性と機能分担
Functional share of lysosomal cysteine proteases
勝沼 信彦
1
Nobuhiko Katsunuma
1
1徳島文理大学健康科学研究所
pp.235-242
発行日 1995年6月15日
Published Date 1995/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425900914
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I.本研究の現状と問題点
レセプターやキャリヤーなど生理活性タンパク質,酵素,ホルモンなどの特定のものの分解をin situで担当しているプロテアーゼを特定する研究の歴史は長く,困難ではあるが,非常に大切な問題である。しかし,例えば安易に“インスリンを試験管内で分解するプロテアーゼが同一臓器(細胞)に見出されたというだけでインスリナーゼと名付けられた”などの研究例は多く存在した。現在では,副作用が少なくて特異性の高い阻害剤を開発利用する。特定プロテアーゼ遺伝子のみのノックアウトをした動物を作る。多くの生理的“揺振り”に対して,特定プロテアーゼの応答的変動が著明におこる。特定病態ならびに特定生理現象の発現とそのプロテアーゼ欠損が的確に対応している。これらの条件を重複して証明できることにより,その確率は増すことになる。しかし,同一分類に属するプロテアーゼ群が同一の細胞内オルガネラに多数に局在している場合は,特定に困難が多い。例えばわれわれが取り組んでいるライソゾーム局在のシステインプロテアーゼ群や,細胞膜に局在するケクシン群やトリプターゼ群などは典型的なものである。しかし,ライソゾーム内には同属で似たシステインプロテアーゼがなぜ10種近く存在しなければならないのか,それぞれのプロテアーゼはどんな異なった固有の生理機能を分担しているのかを追求するのが本研究群の究極の目的である。
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