Japanese
English
特集 細胞死か腫瘍化かの選択
癌におけるアポトーシス抑制因子survivin発現の役割とその制御
Expression of apoptosis inhibitor survivin in cancer
黄 政龍
1
,
劉 大革
2
,
横見瀬 裕保
2
Cheng-long Huang
1
,
Dage Liu
2
,
Hiroyasu Yokomise
2
1京都大学 呼吸器外科
2香川大学 呼吸器乳腺内分泌外科
pp.568-572
発行日 2010年12月15日
Published Date 2010/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425101084
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癌の克復は現代医療における重要な命題である。しかしながら未だその目的が十分達成できたとはいえない。その原因として,癌が単一の病気ではなく,多彩な生物学的悪性度をもっていることが考えられる。癌細胞がもつ悪性の生物学的動態として,細胞増殖能の亢進,アポトーシスの抑制,血管新生の亢進,浸潤能と転移能,薬剤耐性の獲得などがあげられる。近年の分子生物学的癌研究の進歩により,遺伝子・蛋白・糖鎖を含む多くの分子が,癌細胞の多彩な機能に複雑に関与していることが判明してきた。これからはこの分子生物学的癌研究を通じて,臨床現場において役立つ癌治療の開発が重要と考えられる。その中で,survivinは腫瘍増殖能やアポトーシス,薬剤耐性などに広く関わる分子であることが明らかとなってきた1)。そこで,このsurvivinの機能と癌における発現異常,さらにはsurvivinをターゲットにした癌治療への展望などについて,これまでのわれわれの非小細胞肺癌における研究成果を含めて述べる。
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