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電位依存性カルシウム(Ca2+)チャネルの中心機能は孔を形成するα1サブユニットが担い,そのチャネルの主たる生物物理学的および薬理学的特性を決定する。高閾値活性化(HVA)チャネルであるCaV1およびCaV2サブファミリーでは,α1サブユニットは通常,膜と結合して主に細胞外に位置するα2δサブユニットおよび細胞質にあるβサブユニットと組み合わされている。哺乳類では,α1サブユニットを規定する遺伝子が10種,βサブユニットを規定する遺伝子が4種,α2δサブユニットを規定する遺伝子が4種同定されている(表1)。チャネルは四つの相同ドメイン(Ⅰ-Ⅳ)で構成されて,各ドメインは六つのセグメント(S1-S6)から成り,S4セグメントが電位センサーとして働く。βサブユニットはα1サブユニットと相互作用をすることにより,チャネル特性を調節している。α2とδサブユニットは一つのmRNAから翻訳され,S-S結合により結合される。α2サブユニットは細胞外に存在する糖タンパク質であり,βサブユニットと協調してCaV1およびCaV2チャネル分子の細胞膜への移行や安定性に関与している。δサブユニットは膜を貫通しており,電位依存性の活性化や不活性化の調節をしている。
γサブユニットは骨格筋のL型チャネルに存在し,四つの膜貫通部分をもつ糖タンパク質である。しかしながら,このタンパク(γ1)の正確な役割は不明であり,最近クローン化された相同体であるγ2-γ8サブユニットは,特にカルシウムチャネルサブユニットとしては機能していないと考えられる。実際,γ2-γ8サブユニットはAMPA型グルタミン酸受容体の移行に関与することが明らかになった。
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