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特集 オートファジー
肝オートファジーのシグナリング機構
The signaling mechanism of hepatic autophagy
門脇 基二
1
,
金沢 匠
2
Motoni Kadowaki
1
,
Takumi Kanazawa
2
1新潟大学農学部応用生物化学科栄養制御学研究室
2岡崎国立共同研究機構基礎生物学研究所細胞内エネルギー変換機構研究部門
pp.528-533
発行日 2003年12月15日
Published Date 2003/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100797
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近年,オートファジーに対する関心は著しく高まりつつあり,先日の米国ゴードンカンファレンス(6月,メイン州Colby College)においても,この分野への新しい人々の参加が新鮮な熱気をもたらしてくれていた。このオートファジーの,特に形成過程の分子機構については,主にわが国の研究者による貢献によりその詳細が次々と明らかにされつつあり,本特集で記述されているとおりである。また,オートファジーのもう一つの特徴はダイナミックで鋭敏な速度調節が行われることであり,そのプロトタイプとして栄養飢餓による誘導が古くからよく知られてきている1)。酵母において,それは窒素源の欠乏や炭素源の変化による誘導であるが,動物細胞においては栄養素のうちもっぱらアミノ酸がこの作用を持ち,糖や脂肪には認められない。従って,アミノ酸による調節機構がオートファジーの生理的調節機構の中心の一つと位置づけられる。
本稿では,新たな領域となりつつある栄養素によるタンパク質代謝調節シグナリング機構の一環として,アミノ酸によるオートファジー調節機構を,インスリンなどのホルモンによる調節機構とも絡めながら,私見をも含めて紹介したい。なお,最近,栄養素のうち,ビタミンCによるアストログリア細胞でのオートファジー促進作用が初めて報告された2)ことは,この種の知見として珍しく,新たな可能性を拓くものであり,誠に興味深い。
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