特集 生命科学のNew Key Word
8.発生/増殖
PACAP―神経ペプチド
新谷 紀人
1
,
馬場 明道
1
Norito Shintani
1
,
Akimichi Baba
1
1大阪大学大学院薬学研究科神経薬理学分野
pp.468-469
発行日 2004年10月15日
Published Date 2004/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100609
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PACAP(Pituitary adenylate cyclase-activating polypeptide)は1989年にArimuraらにより,下垂体のアデニレートシクラーゼ活性化を指標にヒツジの視床下部から単離・同定されたポリペプチドであり,消化管ペプチド(VIP)と68%のアミノ酸配列の相同性を示し,VIP/セクレチン/グルカゴンファミリーに分類される1)。受容体には7回膜貫通型GPCRのPAC1,VPAC1,VPAC2の3種があり,PACAPは3種の受容体全てに高親和性を示すが,VIPはVPAC1,VPAC2に選択性を示すことから,PAC1が選択的なPACAP受容体といえる。これらの受容体は共に細胞内シグナルとして,cAMP,PLC-Ca++,MAPキナーゼとリンクするが,そのタイプは細胞種,リガンドの種類,およびその濃度に依存する。例えばPC12細胞では,突起伸展作用ならびにPACAP遺伝子発現を,NGFとPACAPは各々単独で促進し,かつ,共存させると相乗効果を示すが,それに関与するMAPキナーゼは異なる2)。
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