特集 現代医学・生物学の仮説・学説2008
3.発生・分化・老化・再生医学
哺乳類神経幹細胞の非対称分裂
塩井 剛
1
,
松崎 文雄
1
Go Shioi
1
,
Fumio Matsuzaki
1
1理化学研究所発生再生科学総合研究センター非対称細胞分裂研究グループ
pp.400-401
発行日 2008年10月15日
Published Date 2008/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100532
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生物の発生過程において,一つの細胞から二つの異なる娘細胞を生じる非対称細胞分裂と呼ばれる現象は,細胞分裂を繰り返しながら多様な細胞を生じる個体発生にとって基本的かつ重要なプロセスであり,その制御機構はショウジョウバエなどを用いてよく研究されてきた。哺乳類大脳皮質においても,神経幹細胞は非対称分裂によって神経幹細胞自身と神経細胞(もしくは非上皮系前駆細胞)という異なる二つの娘細胞を生み出す。本稿では,これまでの哺乳類神経幹細胞における非対称分裂に関する研究とわれわれの最新の知見を基に,哺乳類神経発生における非対称な細胞運命決定を担う機構を議論する。
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