Japanese
English
総説
哺乳類松果体の移植
Transplantation of the Mammalian Pineal Organ
野中 徹郎
1
,
増沢 紀男
1
,
荒木 正介
2
Tetsuo Nonaka
1
,
Toshio Masuzawa
1
,
Masasuke Araki
2
1自治医科大学脳神経外科
2生命誌研究館研究部門神経生物
1Department of Surgical Neurology, Jichi Medical School
2Laboratory of Neurobiology, Biohistory Research Hall
キーワード:
pineal organ
,
transplantation
,
mammalia
,
serotonin
,
tyrosine hydroxylase
Keyword:
pineal organ
,
transplantation
,
mammalia
,
serotonin
,
tyrosine hydroxylase
pp.315-324
発行日 1994年4月1日
Published Date 1994/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1406900616
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はじめに
哺乳類松果体は,神経の情報を内分泌の情報に変換するneuroendocrine transducerと位置づけられている。即ち,内因性日内リズムの発振源とされる視交叉上核のリズムが交感神経に入り,最終的に上頸神経節後線維を通して松果体に伝えられる。その信号は,メラトニン合成の律則酵素N-acetyltransferase(NAT)の活性を調節することにより,松果体のメラトニン分泌に概日リズムをもたらすのである(Fig.1)。これは,さらに,季節のリズムとしての動物の代謝活動に重要な機能をもつ。このような哺乳類松果体の発生,生理の研究には,松果体の移植が大きく貢献してきた。この方法は,in vivoの系において松果体のおかれた環境を変化させることができ,実験の目的によりさまざまな移植部位が選ばれてきた。
本稿では,今までに報告された哺乳類松果体の移植実験を移植部位別に紹介し,それによってこれまでに明らかにされた松果体の神経支配と松果体細胞の分化や機能について述べる。
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