Japanese
English
特集 味覚のメカニズムに迫る
味蕾細胞の分子と遺伝子
Molecules and genes in taste bud cells
武田 正子
1
,
鈴木 裕子
1
Masako Takeda
1
,
Yuko Suzuki
1
1北海道医療大学歯学部口腔解剖学第二講座
pp.80-84
発行日 2005年4月15日
Published Date 2005/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100365
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1 味蕾細胞は上皮細胞と神経細胞の性質を併せ持つ
哺乳類の味蕾は,舌乳頭,口蓋,咽頭,喉頭蓋などの重層扁平上皮内につぼみの形で存在し,味蕾内に侵入する多数の神経線維と接触して味覚を中枢に伝える感覚器である。味蕾の細胞は,上皮細胞の性質と,神経細胞の性質とを併せ持っている。つまり,両方の細胞に認められる分子,タンパク質を持っている。
味蕾細胞は,周囲上皮の基底細胞が分裂,増殖,分化して味蕾の基底(Ⅳ型)細胞となり,さらにそれが分化して細長い紡錘形の基底側から味孔まで伸びるⅠ,Ⅱ,およびⅢ型の細胞になる。このうちⅢ型細胞のみが神経線維と求心性シナプス接合を行う1,2)。これらの細胞は上皮細胞と同様,絶えず入れ替わっており,寿命は約10日で3),アポトーシスにより死ぬと考えられている4)。また,味蕾細胞には周囲上皮細胞と同じようにデスモゾームから伸びるケラチンフィラメントの束が見られる。この束は,周囲上皮細胞が味蕾を外から支えるために多数の太い密集したフィラメントの束を持つのに対して,味蕾細胞のフィラメントはまばらな束で,周囲上皮細胞とは異なる45kDのサブユニットのケラチンタンパクを含む5)。
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