Japanese
English
特集 情動―喜びと恐れの脳の仕組み
側坐核における行動の情動的評価と行動計画
Emotional evaluation and action planning in the nucleus accumbens
木村 哲也
1
Tetsuya Kimura
1
1理化学研究所脳科学総合研究センター脳創成表現研究チーム
pp.32-38
発行日 2005年2月15日
Published Date 2005/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100361
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動物における行動計画の内部表現を理解することは,その形成のメカニズムさらには動物の意思決定のメカニズムを知る上で重要な手掛かりとなる。しかしながら,行動計画はそれ自身階層的な構造を有していることもあり,その全体像を知ることは困難といわざるを得ない。これまでの研究によって,腕の軌道設計といった運動レベルでのメカニズムに関しては多くの知見やモデルが提案されてきている。ところが,より長期的で複雑な計画では余り多くの研究がなされていないというのが現状であろう。脳そのものの一般的な特性として,行動計画のような複雑な情報を生成する場合,要素から全体像を形成する方法(ボトムアップ)とおおまかな全体像より要素を規定する方法(トップダウン)を同時平行して行っていると考えた方がよく,巨視的な行動計画がどのように作られ,それが微細なものに分節化されるのかを知ることは意義深い知見となる。
これらの観点から,故松本元博士とわれわれは側坐核の神経活動に関連した研究を行ってきた。本稿では,われわれの注目する側坐核の特徴をレビューし,最近得られたわれわれの研究成果の一部を紹介することによって,行動あるいは行動単位を情動的に評価し学習するシステムとしての側坐核の可能性を示したい。
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