特集 生物進化の分子マップ
22.形態形成/分化
甲状腺の分化に関連する遺伝子Nkx2.1の分子進化
鈴木 雅一
1
,
田中 滋康
2
Masakazu Suzuki
1
,
Shigeyasu Tanaka
2
1静岡大学理学部生物科学科
2静岡大学創造科学技術大学院統合バイオサイエンス部門
pp.508-509
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425100335
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Nkx2.1は甲状腺特異的転写調節因子-1(Thyroid-specific transcription factor-1;TTF-1, TITF1)あるいは甲状腺特異的エンハンサー結合タンパク質(T/EBP)とも呼ばれ,甲状腺ホルモンの合成に必須なサイログロブリン遺伝子のエンハンサーに結合する転写因子として1990年に報告された1)。この分子は中央付近に60アミノ酸残基からなるホメオドメインを有しており,ショウジョウバエのNK-2ホメオボックス遺伝子と相同性が高い。 Nkx2.1は甲状腺だけでなく,肺や脳でも重要な役割を果たすことが知られているが,本稿ではNkx2.1の構造と機能,そしてこの遺伝子の起源と多様性について,甲状腺との関係を中心に解説する。
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