トピックス
甲状腺低分化癌
細谷 哲男
1
1東京慈恵会医科大学第一外科
pp.713
発行日 1994年6月15日
Published Date 1994/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542902014
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甲状腺の癌にはコロイドを作る濾胞上皮由来の癌とそれ以外のものとに分類される.前者の中には進行の比較的ゆっくりした分化癌と,非常に進行の速い未分化癌がある.分化癌は,高頻度にみられる乳頭状構造を持つ乳頭癌と,乳頭状構造を持たない濾胞癌に分類される.分化癌の中にはこの分類のほかに高分化癌,低分化癌の分類がある(図1).
この低分化癌は坂本ら1)が提唱した新しい疾患群で,彼らによれば低分化癌はコロイドを持たず,充実性,または索状構造,または硬化性配列の存在する甲状腺癌(図2)である.この低分化癌は甲状腺全悪性腫瘍の13.6%を占める.低分化癌の男女比は1:1.9で,高分化癌の1:7.1,未分化癌の1:0.7と比較すると高分化癌と未分化癌の中間に位置する.平均年齢についても低分化癌が55.2歳で,高分化癌の48.3歳と未分化癌の63.2歳の中間である.
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